飴色蝶 *Ⅰ*
私の頭の中は、混乱していた。

煙草を吸い終えた、庵は言う。
 
「入ろうか、一緒に」

彼の甘い声と見つめる瞳に
私は、クラクラする。

「うん」

恥ずかしい気持ちを超越して
私の胸はドキドキと波打つ。

脱衣所に二人、私はふと思った

こんな時、もっと酔っていれば
恥ずかしいなどと思う事も無く
さっさと服が脱げるのになぁ。

抱きあう訳でもないのに
彼の前で、服を脱ぐなんて
思わなかった。

これまでも、二人で一緒に
入浴することなんて一度も
無かったもの。

脱衣所で、シャツのボタンを
ひとつ、ふたつと外す庵

シャツを脱ぎ、ズボンに
手をかけた彼は服を着たまま
の私を見つめた。

「恥ずかしいの
 脱がしてやろうか?」
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