飴色蝶 *Ⅰ*
「ほらっ、スミレ
 もう少し、イオリさんに
 甘えておいでよ
 
 また今度、いつ逢えるか
 分からないんでしょう?」

「うん」

私は洋服を手に持ち
庵の待つ部屋へと戻った。

庵は、まだ、眠っている。

眠る彼の隣に、私は起こさない
ように、そっと横たわり
庵にくっ付いて目を閉じた。

貴方と過す一分一秒を
私は大切にして

ほんの些細な出来事さえも
この胸に刻んでいく。

心の中を

貴方でいっぱいにして

溢れる程に満たしていても・・

私の心は、すぐに貴方を
求めてしまう。

貴方を探し、貴方を求める。

彼の手が、私の手に
優しく触れる。

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