飴色蝶 *Ⅰ*
「分かっている
 江崎の他に、元執行部の連中
 の事務所が片っ端から伊納組
 にカチコミされたようだな」

「話が無いなら、帰らせて
 頂きます」

「まあ、待て、後の事は子供に
 任せて、親はどーんと構えて
 いればいい
 わざわざ前線で戦う事は無い
 そんなことでは、すぐに首を
 獲られて終わる」

正二と話していても、一方通行
なので、庵は要に言う。

「カナメ、車を回してくれ
 事務所に戻る」

席を立つ要に、正二は
きつい口調で言う。

「カナメ、座れ」

正二の声にお店の空気が変わる
 
沈黙が流れ、朱莉は
庵を見つめた。

「イオリ、これも大事な仕事だ
 彼女に恥をかかせるような
 真似はするな
 
 トモエさん、私はもう酔った
 ようなので帰らせてもらうよ
 今日は、とても楽しかったよ
 
 後は、イオリに存分に我侭を
 言って、家まで送って
 もらいなさい」
 
「はい」
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