飴色蝶 *Ⅰ*
「ええ、愛なんかに
 興味は無いわ
 
 もちろん、お金にもね
 あるのは・・・」

庵の頬に、冷たい手を翳す。

彼女の望み・・・それは

「貴方、そのもの
 綺麗な男に抱かれる事ほど
 優越感に浸れる事は無い
 貴方ほど、綺麗な人は
 そうはいない」

庵の顔に見惚れる巴。

「外見以外は何もいらない
 って訳か」
 
「ええ、何もいらないわ」

庵の高笑いが店に響き
そして、静まる。

「可哀想な女
 俺は、この世におまえ
 しかいなくても
 おまえのものにはならない

 嫌いなんだよ
 あんたみたいな女」

店に戻って来た朱莉を見つめて
巴は庵に問う。

「そう、あなたの好みは
 幸薄い女って訳ね・・・」
 
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