飴色蝶 *Ⅰ*
「シュリ、どうした
 そんな格好で寒くないか?」

「ええ、それより、イオリは
 大丈夫なの?
 組は今、大変な事態
 なんでしょう
 こんなところにいても
 平気なの?
 貴方に何かあったら・・・
 そう思うと夜も眠れなくて」

庵は、朱莉に優しく
微笑みかける。

「俺は大丈夫だ
 心配しなくていい」

「そう、貴方が
 そう言うのなら、大丈夫ね
 スミレちゃんはどう
 元気にしてる?」

「ああ、元気だよ
 じゃあ、そろそろ俺行くわ
 この忙しい時に、やっかいな
 お嬢さんの世話を先代に
 頼まれて困ったもんだよ
 
 あの人は、いったい
 何を考えているんだか
 護衛引き連れて行ってくる
 ・・・・・・シュリ?」

「ごめんなさい
 一分だけでいいの
 このままでいさせて」

朱莉は、庵の肩に腕を回して
必死に抱きつく。
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