飴色蝶 *Ⅰ*
別れの朝
何も変わらない・・・
今更、何をしても
彼は、止まらない。
電話の庵の声は、妹さんを
亡くした、あの日のように
寂しく、悲しい声だった。
私は、ただ電話越しに
彼の話を聞いてあげること
ぐらいしかできなかった。
亡くなった舎弟のシバさんは
半端な気持ちで極道になった
庵の事を、要と同様に
最初から慕い続け
いつも傍にいて、愉快な話を
聞かせてくれる、そんな
お茶目で可愛い男(ヒト)
だったと、彼は言う。
年こそ、五つ程、庵よりも上
だったが全く年上だと感じた
事がない程に、容姿はもちろん
考えも若く、どちらかというと
庵よりも今どきの事情をよく
分かっていてパソコン関連にも
強く、この時代、彼のような
ヤクザは必要不可欠な人材で
誰からも頼りにされていた。
そんな大切な仲間を、庵は
亡くしてしまった。
彼の心に、またひとつ、悲しみ
が傷となり降り積もる。
「もう誰一人、失いたくない」
彼の深い悲しみが声となり
私にまで届いた。
今更、何をしても
彼は、止まらない。
電話の庵の声は、妹さんを
亡くした、あの日のように
寂しく、悲しい声だった。
私は、ただ電話越しに
彼の話を聞いてあげること
ぐらいしかできなかった。
亡くなった舎弟のシバさんは
半端な気持ちで極道になった
庵の事を、要と同様に
最初から慕い続け
いつも傍にいて、愉快な話を
聞かせてくれる、そんな
お茶目で可愛い男(ヒト)
だったと、彼は言う。
年こそ、五つ程、庵よりも上
だったが全く年上だと感じた
事がない程に、容姿はもちろん
考えも若く、どちらかというと
庵よりも今どきの事情をよく
分かっていてパソコン関連にも
強く、この時代、彼のような
ヤクザは必要不可欠な人材で
誰からも頼りにされていた。
そんな大切な仲間を、庵は
亡くしてしまった。
彼の心に、またひとつ、悲しみ
が傷となり降り積もる。
「もう誰一人、失いたくない」
彼の深い悲しみが声となり
私にまで届いた。