飴色蝶 *Ⅰ*
その言葉に、私は自分の
耳を疑った。

「でも、今日逢えば
 また次の日も
 その次の日も
 お前に逢いたくなる
 
 俺の想いは止まらなくなる」 

彼の声は、私の胸を貫き

心を掴む。

「私たち、同じ気持ちなんだね
 イオリ、ありがとう
 その気持ちだけでもういいよ
 
 私の事、愛してくれて
 ありがとう
 
 逢えなくても、私は貴方を
 ずっと愛してる」

もう、それだけで

じゅうぶんだよ。

「おやすみなさい」

私は、テーブルに携帯電話
を置いた。

貴方の気持ちが落ち着いたら
別れを言おう。

もう、このまま逢わない方が

いいのかもしれない。

逢えば、貴方の手を放すこと

私は躊躇ってしまう。

繋いだ手を、放せなくなる。

逢えば・・・・・・
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