飴色蝶 *Ⅰ*
時間は過ぎ、夜は深まっていく

雨に濡れたせいか、ほんの少し
だるく重い体。
 
今日はもう、早く眠りにつく方
がいい。
 
私は、ベッドに横になり
目蓋を閉じた。

すると、ドアホーンの音が
聞こえる。
 
こんな夜に、いったい誰が?

まさか・・・そんなはず無いよ

ドキドキ、波打つ鼓動。

覗き穴の向こうに、庵の姿を
見つけた。

やっぱり、そう・・・

あなただった。

私は、パジャマ姿のまま扉を
開けて、庵の胸に飛び込んだ。
 
私の手が、彼の腕の傷に
触れると、彼は顔を顰めた。

「ごめんなさい」

離れる私を、怪我をしていない
方の腕で彼は抱き寄せてくれた

大好きな庵の香りに

私の心は安らぐ。
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