飴色蝶 *Ⅰ*
寝顔も笑顔も、貴方の仕種の
全てを大切に心に仕舞う。
 
もう少し、このまま
貴方と一緒に過したい。

今度、逢う時は、私が貴方に
さよならを言う時。

だから、もう少しだけ・・・

私の選択は

間違っていたのかもしれない。

もう少しだけ、傍にいて・・・

そんな願いも虚しく、庵の
携帯電話が鳴り響く。

携帯電話を手に話す、庵の表情
は、どんどん険しくなる。

「カナメか?そうか、分かった
 俺は今、すみれの家にいる
 悪いが、こっちに車を頼む
 くれぐれも用心して
 動いてくれ
 
 すみれを、巻き込みたくない
 
 俺の怪我、そんなもの
 どうってことない・・・
 俺が出向く」
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