飴色蝶 *Ⅰ*
「もういい
 どんなに願っても
 私の願いは叶わない
 
 貴方は、もうすぐ
 ここを出て行く」

「すみれ?」
 
私を覗き込む庵から
目を逸らさずに私は言う。

「何処へでも行けばいい
 私は、もう
 一緒にはいられない」

守るものを無くした庵は

この世に未練など無い。

私は、間違っていた?

私の瞳に映る貴方は
とても悲しい顔をした。

私の心に突き刺さる、悲しい瞳
  
私は、言いたくないけれど

別れの言葉を言う・・・

言わなきゃいけない。  

言葉は鋭く尖り

貴方の心を切り裂く。
< 478 / 488 >

この作品をシェア

pagetop