飴色蝶 *Ⅰ*

俺は忘れない

「もう、疲れちゃったよ
 いつも同じ・・・
 いつまで立っても
 何も変わらない
   
 貴方は大切な事、私には
 教えてくれない
 
 私は、一人きり・・・
 不安な思いを抱えて
 眠れない夜を過す
 
 逢えない日々は
 私の心を凍りつかせる」

私の瞳から、涙が流れる。

庵は何も言わずに、ただ私を
強くその胸に抱きしめる。

私は、彼の背に

この腕を回したい。

貴方を抱きしめたい

・・・でも、できない。

「凍りついた心は
 何も感じなくなるの
 貴方がいない事が
 あたり前になる
 貴方といなくても平気で
 いられるようになる」

庵が頼りない声で、私に聞いた

「別れるのか、俺達?」

「ごめんね、イオリ」
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