飴色蝶 *Ⅰ*
彼は、もう
この部屋の何処にもいない。

もう、二度と逢えない。

私は、その場にしゃがみ込み

子供のように、声をあげて
泣いた。

欲しくて欲しくて堪らないのは

ただひとつ、貴方だけ・・・

あの日、私は、貴方を怖いと
言った。
 
だけど、それは

本当の気持ち

じゃなかったんだよ。

貴方を怖いなんて想った事

たったの一度だって無い。

だけど、あの時の私は

その言葉を告げる事を選んだ。

貴方を失わない為に。

あなたを守る為に。

私は、言うしかなかったの。

貴方が生きていてくれるなら

・・・・・・
 
私のこの胸の痛みぐらい

我慢できるよ。
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