飴色蝶 *Ⅰ*
その後、私は高熱を出して
二日間程、何もできず
動けずにいた。

熱が出て、とても苦しかった
けれど、それが返って
よかったようにも思えた。
  
庵と別れて、正気で日常を
送れる程

私は強くない・・・

熱の最中でも、庵の事を
考えていた。

『イオリは今
 どうしているだろう・・・』

貴方の事だけを・・・

私は、顔を洗い、歯を磨き
髪をひとつにまとめ

きつく縛る。

そして、前へ踏み出す。

貴方への思いを胸の奥深くに
閉じ込めて、私も歩き出す。

私は、カレンダーを見て
ふと気がついた。

そう私は、もう既に
24歳になっていた。

布団の中、熱に魘(うな)され
ながら誕生日を迎えた
自分の情けない姿を思い出した
私は、もう、笑うしかなかった

私は、笑うことができる

一人でも大丈夫。
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