飴色蝶 *Ⅰ*
玄関のドアを開け放ち

靴の音を響かせて

私は、歩く。

晴天の空を見上げて私は言う。

「イオリ、ありがとう
 
 貴方が大好きだった・・・」

仕事を終えた私を待つ男性が
そこに立っている。

「イオリとは、別れました
 だから、もう、ここへは
 ・・・・・・」

私の手を取り、抱き寄せる
彼の力は凄まじく
抱きしめられて
身動きひとつ取れない。

彼の腕に抱かれながら
私は言う。
 
「もう、ここへは
 来ないでください」

「よく、決断したな
 大丈夫、これで抗争は終わる
 君には、辛い思いをさせて
 悪かった、ごめんな」

「放してください
 貴方に言われたから、イオリ
 と別れたわけじゃない
 私が自分の意志で別れを
 決めただけの事、だから
 何も関係のない貴方が
 私に謝る必要は無いわ」
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