飴色蝶 *Ⅰ*
彼は、優しく言う。

「可哀想な人」
 
「かわいそうなんかじゃ
 ・・・じゃないよ
 そんな風に言わないでよ
 同情しないで・・・」

涙が溢れ出す・・・

溢れた涙は止まる事を知らない

「泣けよ
 俺がずっと、おまえの
 傍に居てやるから
 泣いて、アイツを忘れて」

できないよ・・・

イオリを忘れる事なんて
私にはできない。

だけど、涙が止まらない。
  
止まらないの・・・

彼の、アラタさんの腕を
振り払う事は

今の私にはできない。
 
今、貴方が傍に居てくれる事
心から感謝している。

傷ついた羽を癒せる場所を
見つけて

ほっと安心している私が

私の中にいる。

『・・・俺は忘れない』
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