飴色蝶 *Ⅰ*
「今日は私のおごりで
 いいよ」

「いいんですか
 先輩?」

「まかせなさい」

「ありがとう

 ございます」

お会計を先輩にお願い
して、先に洋食店の外
へ出た

私に呼びかける声が
聞こえた。

「スミレ」

同じように食事を終えて
出て来たのは

麻子だった。

久しぶりに見た
麻子の姿は

ピンクの派手な洋服に
高いピンヒールの靴
ブランド物の鞄を
手に持ち

黒い目元に、グレーの
カラーコンタクト

ブラウンの髪を
盛りヘアーにして

見るからに夜の仕事を
しています
という雰囲気だった。

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