飴色蝶 *Ⅰ*
「マコ、どうして
 
 そんな話を

 私にするの?」

「彼が本当に好きなのは
 スミレ、貴女だと
 私は思う
 
 彼が言い寄ってくる女
 に手を出さないなんて
 有り得ないから・・・
 
 だけどきっとスミレは
 本当の彼を知れば

 怖くて、彼から
 逃げ出すと思うわ」

本当の、彼を知れば

私は、彼から逃げ出す。

「イオリは貴女みたいな
 薄汚い社会の事を
 何ひとつ知らない
 普通のお嬢さんが
 付き合えるような人
 じゃない
 
 人を死ぬ程憎んだり
 どんな汚い手を使って
 も、振り向かせようと
 企んだり、貴女は
 絶対にできない」
< 64 / 488 >

この作品をシェア

pagetop