飴色蝶 *Ⅰ*

背中

庵先輩、貴方が愛した
女性は

濡れ羽色の蝶蝶・・・

彼女は薄汚れた世界に
生きる蝶
  
堕ちれば、存在すら
消えてなくなってしまう

そんな水面の上を
ヒラヒラと
頼りなく飛んで行く。
   
彼は、彼女を

この手に捕まえたい

夜の街に蠢(うごめ)く


庵は、黒い高級車を
路上駐車させ

その場所で
待機している。

庵の見つめる世界は
一見、神々しいまでに
華やかだが

その闇は深い。
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