飴色蝶 *Ⅰ*
影はゆっくりと伸び

人の心を掴み離さない。

そして、呑み込んでいく

華やかな上辺に騙されて

一度、足を踏み入れれば
   
上り詰めるか

転落するか・・

高級車の窓ガラスを叩く
音がすると

庵は、車を降りた。
   
「会長、お迎えに
 上がりました」

スーツ姿の強面の男達は
一斉に、会長と呼ばれる
男の前で頭を下げた。

会長などと

呼ばれているが

そう彼は、この辺りを
牛耳っている極道の親分

高月 正二
(タカツキ ショウジ)
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