飴色蝶 *Ⅰ*
彼女が、このまま埋もれて行く
のを何もしないで黙って
見ていたくない。

「でも、お店に乗り込むなんて
 危ないよ」

「大丈夫だよ、変に隠れて
 コソコソ会って話すよりも
 たくさんの人の前で会う方
 が下手な行動は取れない
 はずだもの

 その店は、愛人件自分の店
 でもある訳だし

 それにもし暴力を
 振るわれても、一般の
 こんな小娘に何かしたと
 なれば、会長さんの顔に
 傷がつくわ」

遅れて来た更紗は、居酒屋を
出て駆けて行く菫の姿を見て
慌てて雪乃の元へ駆け寄る。
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