飴色蝶 *Ⅰ*
「何かあったの?」

事情を聞いた更紗は警察に言う
べきかどうか悩んでいた。
    
雪乃が何か思い出したように
呟く。

「そうだ、彼に頼んでみよう」

「彼って誰?」

携帯に電話をかける雪乃。

「もしもし、ユキさん」

その声は、庵だった。
    
庵はちょうど今、組長を迎えに
朱莉の店の前に向かう
途中だった。
    
電話を切った庵は、運転する
スピードを加速させる。

「あの馬鹿・・・」

「アニキ
 どうかしましたか?」
   
素敵なお店のドアの前で、私は
深呼吸をつく
    
そんな私に話しかけるスタッフ
は、お店の名刺を渡した。

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