飴色蝶 *Ⅰ*
会長は顔を左右に振って、組員
に手荒な真似はしないように
表情で伝える。

会長が大きな声で笑うと
幹部たちも同じように笑う。

そこへ、お店の扉が開き庵が
入って来た。
   
庵に、困った表情を向ける朱莉
がいた。
    
菫は、庵がすぐ近くに居る事
など全く気が付いていない。

「そんな話を、こんなところで
 するとは何も分かっていない
 お嬢さんのようだね
 
 ここは、お酒を飲んで遊ぶ
 場所で、真剣な話はご法度で
 なければ、お酒の上で
 成り立つ契約ほど無惨に
 破られて行く
      
 そんな事も分からないのかい
 また、後日にお願いしたい
 帰りたまえ」

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