田舎姫と都会王子
要の手が震えているのに気づき私は要の手に自分の手を重ねた。


「俺が小6の時、行方不明になっていた母が俺に会いに家まで来たんだ。一緒に暮らそうて言って。」


「お母さんが?」


「ああ。初めは何を言われているかわからなかった。けど次第に、わかってきて俺を見る兄貴の母親の目も変わった。」


要は、そこまで言うと少し黙ってからまた話始めた。


「『お前は汚い子供だからもう一緒には暮らしたくない。』兄貴の母親にそう言われ、俺は母親と暮らそうと決心した。母親も俺が一緒に暮らすのを喜んでくれた。」


要はそう言ってフッと笑った。
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