田舎姫と都会王子
「でも、それは永遠に叶わない夢に終わっちまった。」


「どうし……」


私はそこまで言って口を閉じた。


要にはお母さんがいない……


「俺と待ち合わせをした日、母親の立っていた所にトラックが突っ込んできたんだ。母親は、即死だった。」


要の言葉に、私は声が出なかった。


「親父と兄貴は、また一緒に暮らそうと言ってくれた。でも兄貴の母親はそれを拒んだ。当たり前だけどな。」


「それから1人で暮らしてたの?」


声が震えながらも私がそう聞くと、要は頷いた。
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