前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―
「~~~っ……理性、よく持った方だ。生肌を見ても即押し倒さなかったあたしを褒めたい。
しかし今のでトドメを刺された。今のは空が悪い。ああ悪いさ。殺し文句だろ? なあ? そういう台詞は別の場面で言ってこそ、もっと魅力的な言葉になる。そうは思わないか? そらっ……おっと、空、大丈夫か?」
「しんどい。視界がグルグルしてきたっす」
先輩に凭れて俺は目を閉じる。
本当にしんどくなってきたんだ。
やっぱ暴れ過ぎだよな。
騒ぎ過ぎだよな。
ちょっと先輩に気遣える余裕がなくなってきた。
「まったく仕方の無い奴だな。ここまであたしを誘っといてまたオアズケか?」
先輩の笑声が耳元で聞こえる。
髪を梳かれたと思ったら、額に何か柔らかいものが落ちてきた。
「おやすみ。少し寝ろ」
甘い囁きに俺の意識は沈んでいく。
うん、もう寝よう。
色々と疲れちまったから。
それに、凭れている先輩の鼓動が聞こえてくる。
それが凄く安心するんだ。
凄く安心、すごく心地良い。