前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―
04. 初おでーと物語(前)
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デート当日。
時刻、午前11時。場所、駅前広場の時計台前。
天気、ぽっかりと白い雲が浮かぶ晴天。
鳩が群がっている広場の時計台前で立ち尽くしていた俺のこと豊福空は、見事に挙動不審者となっていた。
まだ熱があるのか?
いやいや、ちゃんと完治している。
だったら理由は一つしかない。
竹之内財閥三女・竹之内鈴理先輩と初デート、しかもプライベートで初デートをするから挙動がおかしくなっている。
とどのつまり、俺は緊張しまくっている。
ついでに言えば、やや身の上が心配。
カッコ、先輩が俺を襲うかもしれない危険性があるからカッコ閉じる……と。
気持ちを誤魔化すように頭部を掻いて、その場でそわそわ。空を仰いで嘆息。
ドキドキしては地団太。
キョロキョロと周囲を見渡し、彼女の姿を探す。
そわそわ。ドキドキ。キョロキョロ。エンドレス。
「ダメだっ――!!」
ついに俺は緊張のあまりに頭を抱えてしゃがみ込んだ。
目前の通行人達が訝しげな眼を飛ばしてくる。
そりゃそうだ。
男子高生が落ち着きなく挙動不審な態度を取っている上に、しゃがみ込んで頭を抱える。
この場の不審者を指すなら、間違いなくそれは俺のことだろう。
だけど白眼視をしてくる周囲に気遣う余裕はない。
生まれて初めてのデートに思考回路はショート寸前。そら緊張するだろう?
しゃがみ込んだままの姿勢で腕に巻いている時計盤に目を落とす。
「待合わせ時間は11時半。現在の時刻10時54分。うわぁ、時間まで40分近くあるよ」
時計台の針と自分の腕時計の時間が合っているか確認。
携帯でも時間を確認して、今の時刻を頭に叩き込んでおく。
先輩と改めてデートの約束を交わした一昨日の夜。
勢いで日曜にデートをすることになったけれど、俺は肝心のスケジュールについて何一つ考えていなかった。