前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―
02. 探す探すトラウマ打破
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観覧車が大好きな先輩と観覧車に乗ってみたい。
あわよくば観覧車で告白も……とか、残念ロマンチック乙女思考に考えた俺は、それを完全な目標、ゴール地点としてトラウマを克服するための打破法。
並びに高所恐怖症が酷くなった原因を追究することにした。
克服するにはまず原因を探らないと、対処法も見つからないしな。
とはいえ、原因が簡単に見つかったら苦労はしない。
ただでさえ恐怖心が増大してしまった原因が不明だというのに、自身でもよく分かっていないというのに、それを手探りで探さないといけないんだ。
出鼻を挫かれてしまった俺は、取り敢えず克服から優先してみることにする。
放課後、恐怖心を振り切って、教室の窓に歩んでみることにしたんだ。が、途中で足がカッチンコッチンに止まり、一歩も前に進めなくなったという。
トホホ、ダッサイんだぜ。
ええいっ、こうなったら無理やりにでも歩んでやると意気込んだ俺は、フライト兄弟に無理言って窓辺まで引き摺ってもらうことに。
フライト兄弟も俺の高所恐怖症を間接的に知っているからな。
直接言ったわけじゃないけど、向こうは俺の高所恐怖症を見抜いている。
だからこそ彼等に引き摺って窓辺まで連れてってもらおうとしたんだけど。
「やっぱ無理。ムリムリムリっ! うわぁあああっ!」
情けないことに窓辺に辿り着く前に、二人の手を振り払って教卓まで逃げちまった。
「ああっ、怖いっ。死ぬかと思った」
ゼェゼェ息をつく俺に、フライト兄弟は非常に憂慮を含んだ目を向けて助言。
「なあ空。急にどうしたんだ? お前、その、あー高い所駄目だろ?」
「おぉおおおう、だ、駄目だけど駄目じゃないんだぞ。アジくん。俺、た、たたた高いところラブなんだぞ。お、お俺のご先祖様は鳥人だったんだ。お空大好きだったんだ」
「……空くん、説得力ないって」
やめとけやめとけ、二人に駄目だしされて俺はうっと呻き声を上げる。
畜生、高い所を見たそのショックで治るんじゃね? とか思ったけど、やっぱ無理か。
まず窓に近付けないもんな。
今の俺は五倍増しで高いとこがダメダメだし。