前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―

04. お守り親衛隊




【某空き教室にて】



勝手ながらも、放課後の某空き教室はとある集会場として使っている。


どのような集会が行われているかと問われれば、長くて短い、まあ、つまりは簡略的説明になるが『同志集会』だ。


同志集会とは何ぞやもし?

そう思われた方も多いだろうが、まずは同志集会の様子を見てもらいたい。


今日も集会が行われているのだから。


しかし今日の集会はいつもよりも空気が重く、全体的に濁り気味、淀んでいた。


「隊長。全員集まりました」


副隊長の掛け声により席に着いていた“隊長”と呼ばれている男子生徒は、すくりと立ち上がる。そのままグルッと全員を一見。

集会に集まった者達の表情は皆、浮かないものだった。気持ちは分かる。


自身も気持ちが沈んでいる。

あまりにも沈んでいるため、気持ちが地面にめり込んでしまいそうだ。

できることなら泣いて、泣いて、泣いて、今回の一件を無かったことにしたい。


ゴホン。

“隊長”と呼ばれている男子生徒はひとつ咳払い。


「今日は悲しい話し合いをしなければいけない。おっと、泣くには早いぞ。私だって泣きたいのだ。ここは我慢をしてくれ」


と語る隊長の目にも既に涙。


それを見た一同もうわぁあああっ! 泣き出す始末。

一同揃って野郎なため、男泣きの喧しさは半端なものではない。教室が太い男の泣きの声で満たされる。


「静粛に!」


隊長の声により、泣声はややボリュームが下げられるが、やはりまだシクシクシクと男泣きが教室を満たす。

ハンカチで目元を拭う隊長は、それをポケットに捻り込むとキリッと表情を引き締めた。


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