前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―
キラキラと俺はアジくんに尊敬という名の熱い眼差しを送る。
エビくんはそんな俺にやや引き気味だった。
気を取り直してエビくんは今日の帰りのSHRの話を切り出す。
「今日は念願の席替えだ。今度こそ後ろの席を望むよ」
「クジ引きだろ? 窓側の席がいいな」
「そうそう。後ろで窓側の席。だけど僕はクジ運が悪いからな」
席替え?
そうだ、今日は確か帰りのSHRの時間に席替えをするって。
俺は顔面蒼白した。
どうしよう、窓側の席になったら。一ヶ月はそこの席にいなきゃいけないってことで……俺はフライト兄弟にお願いをした。
もしも俺が窓側の席になってしまったら、席を交替してくれないかって。
突然の申し出に二人はキョトンとした顔で俺を見てくる。
なんでって顔をしてきたけど、俺は必死に頼み込んだ。
窓側の席になったら席を交替してくれって。
どうしても廊下側の席がいいんだ。窓側の席になるくらいなら一番前の席になったって構わない!
俺の願いにフライト兄弟は快く承諾してくれる。
「いいけど、空くん、なんで窓側の席は駄目なんだい?」
「それはー……ま、いいじゃないか。なんでも」
俺は誤魔化し笑い。
言えないよな、こうこうこんな理由で窓側の席が駄目なんだって……情けないこと。
「豊福空は窓側が苦手、か。なるほど」
こっちの方を盗み見ては必死にメモを取っている生徒に俺は気付くことができなかった。