【続】イニシャルはKK
手術室から運ばれる歌音。
酸素マスクの下は傷一つなくて…。まるで眠ってるみたいだった。

でも…
左肩から胸、腕にかけての包帯に、改めて事故の大きさを認める俺。

看護師が話した。
「事故により、鎖骨の左側と肋骨の3箇所にヒビが入っています。
実際にはその怪我より…」

一瞬、口を噤(つぐ)んだ。

「事故による怪我よりも…恐らく本人の持ち物だったと思われる陶器――食器の様なもの――の被害でしょうね。その破片による切創が酷かった。
搬入がもう少し遅ければ、出血多量で助からなかったでしょう」


*切創(せっそう)…皮膚の損傷が皮下組織や筋肉等にまで達した傷



≪次のページに流血を連想させるシーンがありますので、苦手な方は244ページに飛んで下さい。≫

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