【続】イニシャルはKK
「こ、梢くん? 自分の言ってる事、分かってる?
いくら今、付き合ってるからって、そこまでお人好しになる必要はないんだよ?
梢くんの子じゃないの。赤の他人の子供なんだよ?」

「でも…歌音の子でしょ?
きっと可愛いって思う。 僕が幸せにしたいと思うんだ」

「後悔なんかじゃ済まない事なの!
頭を冷やして…お願いだから」

「僕ね、今まで物にも人にも執着した事ってなかった。
何かに執着したら、その代わりに失うもの、諦めるものがあると思っていたから。
でも、歌音に会って考えが変わった。
あなただけは失いたくないって思ったんだ。
あなたが響吾さんと幸せになるのなら『仕方ない』って諦められた。
でも、今は違う。そうじゃない。
響吾さんが幸せにしないんだったら、僕があなたを幸せにするまでだ。
僕じゃ、その子の父親になれませんか?
頼りないですか?」

「梢くんの気持ちは凄く…すっごく嬉しいけど、間違ってると思う。
犬や猫の子を引き取るのとは訳が違うんだよ…」

「・・・・・・・」

「今まで本当にありがとう。
安定期に入ったら実家に帰ろうと思ってるの。
大学は辞めます。両方なんて…私、不器用だから。
それと…この事は響吾には絶対に言わないで。
それが一番いいと思うから。お願いします」

私は再び頭を下げた。
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