貧乏少年の恋愛奮闘記






キーンコーンカーンコーン。



「………間に合った。」



「まったく。いちいちおまえを迎えに行く俺の身にもなってくれよ。」


流はそう言うと僕のぐしゃぐしゃな髪の毛の上に手をぽんと置いて席に着いた。


くそぅ。息一つ乱れちゃいない。
僕はぜぇぜぇして苦しいのに。
やっぱり運動部は違うな、うん。



「ほれ、楠木。教室のドアの前でなにしてんだ。早く席につきなさい。」


「あっ、先生。すいません。」



僕も急いで席に着く。



がやがやと騒がしかった教室が、少しずつ静かになっていく。


次の授業は古典だ。



そういえば、申し遅れました。

僕は 楠木 蛍(くすのき ほたる)。
身長は165cmくらいで髪の毛は茶色のさらさらヘアー。部活は遠征費とか色々かかるから入部してない。
流からは「デン」って呼ばれてる。…理由は教えてくれないんだよね。今度また聞いてみよ。




「それでは120ページを開いて……」



先生の声のあとに、教室の中は教科書をめくる音でいっぱいになった。



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