素直になれない


「中瀬くんの何が良いって、悪な所が良いよね!」
「うんうん。ただの良い人じゃ詰まんないもんね」
「しかもそれで後輩って所がまた…ねぇ?だって私たち“先輩”って呼ばれるわけでしょ」

きゃー、と赤面して顔を覆った一人に、周りから辛辣な突っ込みが入った。
変な妄想すんなよ、呼ばれるのは何十年後だろうね、とそれはもう辛辣だった。
笑って話しているから、からかう以外に他意はないだろうが。
そんな様子を見ていて、七海も少し楽しくなる。
しかし気になることがある。

「中瀬くんって…。悪なの?しかも後輩なの?」

これで真の悪だったら、少女漫画の流れ通り。もとい七海の脳内イメージのままだ。
それは展開としてどうなんだろう。在り来たりすぎないかな。
と七海はよく分からない事を考えていたが、彼女達は進んで答えてくれた。




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