ヘタメガ!


キラキラとお洒落眼鏡が輝き、ガンガンにこちらを見ている。

美姫はとっさに身の危険を感じ、周りの女子に顔を見られないようかばんを高く持ち上げ、隠し、美姫らしからぬ速さで校門までダッシュした。


いつもの優雅な動きが崩れ、スカートがめくれるんじゃないかと、周りの男子は動揺と期待に包まれた。


「あっ!ちょっ!…あれ?なんだっけ?えっと…君!」


無視して突き進む。
関係ない逆恨みはごめんだ。


そんな少女漫画みたいなことには巻き込まれたくない。




しかし甘かった。



ばっちり教室がバレている事を忘れていた。


あのアホが放り込まれていたのは、そういえば自分の教室だったのだ。



お昼の休み時間、崇城先輩は堂々と教室に現れた。律儀に洗った体操服を持って。


まず、あのメモを置いた男子生徒の席に行き、ゴージャスな微笑みでささやいた。


「無断で借りてしまって申し訳ない。これ、お詫びに。」


そういって(あの)チョコもプラスして男子生徒の腕の中に押し込めた。ほのかに男子生徒の頬が赤い。


…お前のフェロモンは無差別か。


そしてふらっとこちらに足を向ける崇城先輩。


その後ろで「俺、妊娠しちゃうかも」とバラの香りがする体操服を抱きしめる男子生徒。


ああ、お願いだからこんな目立つところで声なんてかけてくれるな。しかし無情にもそんな願いははかなく散っていく。


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