ヘタメガ!

やっぱり変な人だ。初めに言い出す言葉がそもそもおかしかった。



「君、…ぜひ名前を教えてくれないかな?」


「名前?」


周りに人がいるからだろうか。いくぶんリラックスはしているが、やっぱり胡散臭い微笑みだ。


しかし…バカだからそこまで頭が回らなかったのだろう。今のセリフは完全にナンパだ。しかも堂々とした。


隣でチョココルネをくわえたサクラが目を丸くして興奮している。

斜めに向かい合ったムツキが青ざめた顔で先輩と美姫の顔を見比べた。

前に座っているヨシノはニヤニヤ楽しそうに笑っている。


「あ、あの!この子は美姫って言います!斎藤美姫!」

サクラ、余計な事を。


「そう。美姫ちゃんね。分かった。お友達、お食事中申し訳ないがちょっと美姫ちゃんを借りてもいいかな?」

「ひぇ!」

噂を知っているムツキが更に青い顔をして軽く悲鳴を上げた。

「どーぞどーぞ!」


本人の許可無く、サクラは頬をピンクにして貢ぎ物を差し出す。


そしてヨシノは相変わらずニヤニヤしていた。






斎藤美姫、17歳…その日、友人に売られるという非道徳を体験する。









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