ヘタメガ!
「…っだからっ!今俺友達美姫ちゃんしかいないんだぁ~っ!うわぁぁっ」
とうとう、先輩が泣き出してしまった。
うわわわっ
「分かりました!分かりましたから!そんなに泣かないで下さい!」
「ぐすっ…美姫ちゃ~んっっ」
急にガバッと抱き付いて来た純一にカァッと顔が赤くなった。
ふわりと薫る崇城先輩の甘い匂いと意外に力強い腕と、熱い体に動揺する。どんなにヘタレで情けなくても、この人は男の人なのだ。
「先輩!ぉ、落ち着いて下さい!」
落ち着くのは自分だと思い直しながらも、必死に先輩から離れる。
ハンカチを取り出し、手を伸ばして綺麗な顔に触れる。涙を拭いながら、大きな子供を持った気分になった。