ヘタメガ!
崇城先輩に「やんわり」というものは通用しないらしい。
やんわりとアドレス教えてコールを断ったのに、いつまにか先輩はよく美姫にメールをするようになっていた。
面倒に巻き込まれたくない一心だったが、サクラ辺りが教えたのだろう。覚えてろ。
先輩のメールを流し見る間に、あの事件の犯人が分かってきた。ラグビー部のような肉体を持ち、へんな前髪の新聞部部長、前田先輩。初めは完全なる逆恨み。振られた原因が崇城先輩ってだけだったが、崇城先輩を苛める内、あの揺れる瞳にS心が刺激され、変態の道にどっぷりつかってしまったらしい。
双方とも、なんだかお気の毒。
たびたび殴られてはいたようだが、いつのまにか捕まって縛られる、という謎の方向に走り、現在にいたる。
『美姫ちゃ~ん!なんか新聞部に囲まれた!助けて!』
とメールが来たら、必ず校内のどこかにやらしくぐるぐる巻きにされた先輩が転がっていた。
崇城先輩の謎の線状の痣が、さらに噂を呼び、夜の遊びが激しいとバッシングを浴びていた。
つくづく可哀想なヒロインみたいな男である。
でもキッチリパフェはおごってもらう。