ヘタメガ!
「先輩、そろそろガツンと言ってやったらどうです?」
「ふぇ?」
カラシたっぷりのサンドイッチをくわえながら、純一は子供みたいにパン粉をパラパラこぼす。
それをふきながら、美姫は崇城先輩の腕を見つめた。
けっして細くはない。しっかり筋肉が付き、とても男性らしい。
少し自分の考えにどきりとしながら、話を続ける。
「多分、本気で挑んだら、勝てるかもですよ。」
「ええ~、む、無理だよ~っ」
「いいんですか?このままで。影でいじめられて、友達は私しかいなくて、本当の姿を偽って、このまま前にすすんじゃうんですか?」
「…ううっ」
「先輩9ヵ月後には卒業ですよ?友達一人もいなくなりますよ?」
え!と捨てられた犬のような瞳を揺らし、美姫を見つめる。
「なんで?!美姫ちゃんはずっと一緒でしょ?」
「現実を見て下さい。そうゆう訳には行かないでしょう?」
すごく傷付いた顔している先輩を見ていられずに、美姫は溶けかけのパフェを見つめた。
「…ほら、先輩は大学に進むか就職されますし。やっぱり住む世界が違って来ます。いつも一緒には居られないですよ。」
「…。」
…何故だろう。沈黙が刺すように痛い。
口を開いたのは先輩だった。
「こんなに…こんなに好きなのに?」
は?
その言葉に美姫はカッとなった。
「バカじゃないですか!軽々しく好きとか使わないで下さい!」