ヘタメガ!
サクラは珍しく深刻な顔をして、話を聞いてくれた。
「美姫…崇城先輩の事、好きだったんだね。」
「先輩が私の事好きなのは知ってるの。でも…それは私の気持ちとは、全然違う…。っ」
…泣くのは久しぶりだった。
先輩の潤んだ瞳が好きだ。
優しく微笑む目が好きだ。
眼鏡をかけ直すときの手が好きだ。
力強い腕が好きだ。
気が抜けたときの丸まった背中が好きだ。
困ってるときの顔が好きだ。
いつもどこか決まらない所が好きだ。
情けない八の字眉が好きだ。
私にだけ向けてくれる本当の笑顔が好きだ。
サクラは無言で背中をさすってくれた。
それから一週間。先輩からの連絡は、ぷつりと途絶えた。