ヘタメガ!
「さすがに驚きましたよ。」
全然驚きのない顔で、美姫は少し離れて純一と歩いた。
美姫の方が純一の三歩前を歩く。
純一が後からポツポツ付いて来る形で、この歩き方はいつの間にか身に付いた二人のルールでもあった。
「いやいやあの時は助かった!」
「思い出して頂き光栄です。ついでに危機感も身につけて下さい。」
「ききかん?んー頑張るよ。」
大丈夫なのかこの男。
未だにあの時なんでおおっぴらに騒がなかったのか、自分でも分からない。
猛ダッシュで先生を呼んできても良かった。
目が合ったのだ。
情けなーい涙目と。
口は布で縛られ、声を出せなくされて、頬に殴られた後があった。
丁度いい感じについた筋肉が痛々しく所々腫れている。
学校にバレれば大問題。犯人も捕まり一丁解決!
だが、ロッカーに素っ裸で縛られ放置されたという、好奇の目で見知らぬ他人にニヤニヤ見られるのはいかがなものか。
私なら耐えられない。