ヘタメガ!


気が付けばうまく言いくるめられ、ファミレスに居た。


「なんか奢るよ!チョコパフェとか!」

という言葉に反応してしまった自分が憎い。


目の前の甘い誘惑をさっさと胃に納め、さっさと立ち去ろうと企んでいた。


「お待たせしました。ブラックでございます~」


店員が目の前の男にメロメロになりながら、カップを差し出した。(え、体操着なのに)



すると、先ほどのフニャンとした男の表情がキリッと引き締まり、ブワッと幻想のバラをまきちらかした。(え、だから体操着なのに)



「ああ、ありがとう。」


店員はハートを飛ばしながらクラクラ立ち去り、胡散臭い微笑みをたたえた男は、ふーとため息をつき、またフニャンとした顔に戻った。


しかし純一は、じとり…とした疑いの眼差しに気付き、びくりと肩を震わせた後、情けない微笑みで頭を掻いた。





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