ヘタメガ!
「アハハ、実は女の子、ちょっと苦手でね。すぐ構えちゃうんだ。」
眉を可愛らしく八の字に曲げ、情けなく笑う。
まあなんて白々しい。
そんな手には乗らないんですからね、と美姫は食べるスピードを上げた。
返事のない美姫を見つめ、ちょっと悲しそうに笑った後、純一はブラックを頼んだくせに机の隅にある砂糖を3本も取り、ザーッと黒い渦に流し込んで行く。
そしてその見かけブラック、実はドロ甘のコーヒーは置いといて、砂糖の袋で夢中に何かを作り始めた。子供みたいな顔で。
「出来た♪」
何がだ。
内心美姫は突っ込んだ。先輩の大きな手のひらにどう見ても紙くずにしかみえない塊が乗っている。
「みててねー」
すると先輩は軽くスプーンにコーヒーをすくい、机の上に置いた紙くずの上にかけた。
「え!」
「ね♪凄いでしょ~」
水分を含んだ紙くずは、瞬く間にニョロニョロ膨らみ、蛇みたいな形に。
「母方のおばあちゃんが教えてくれたんだー。」
ニコニコ無邪気に笑う純一につられて、いつの間にか美姫も笑顔になっていた。