ヘタメガ!
「俺、ちっさい頃から、女の子が苦手でね。チビだったから余計いじめられちゃって。苦手というかむしろ恐怖の対象かもー。アハハ。でも、友達とか、周りのアドバイスで、こうしたらいいよ~とか、言ってくれて、やっとこさ女の子と普通に話せるようになったんだぁ。」
さっきたらしたコーヒーの上に腕を置いてしまい、(無断で)借りている服にシミを作りながら、純一は続ける。
「でね、その内、俺の事が好きですって言ってくれる子が出てきてね。俺すっごく嬉しくってさ。付き合うんだけど、なんでだかすぐ振られるんだよね。なんでだろうなぁ。」
コーヒーを口に運び、「え?なんでこんなに甘いの?」とか言いつつ、純一はちょっと寂しそうに窓の外に張り付いている鳥の糞を眺めた。
…。
「崇城先輩。先輩はその人達の事、好きでしたか?」
「え?好きだよ?」
「そうじゃなくて。ちゃんと好きでしたか?その人達にちゃんと恋、していましたか?」
「………。」
「そりゃ振られますよ。自分の事を好きじゃない人と付き合っても悲しいだけですから。」
「……。」
「これからは、ちゃんと好きになった人と付き合って下さい。じゃないと自分と相手に失礼です。」
最後の一口を口に放り込み、「ごちそうさまでした」と美姫は席をたった。
…しまった。
自分らしくない。あんなに熱弁をふるうなんて。