不良BOY
たった一つの支え
「…奈…優奈!!」
誰かが私を呼んでいる。
私は重いまぶたをゆっくり開けた。
目の前に人がぼやけて映し出される。
「よ…横山くん…?」
横山くんだった。
「優奈!やっと目覚ましたか!!よかったー!」
横山くんは安心したようにその場にしゃがみこんだ。
「ここ…どこ?」
周りを見回すと私は知らない家のベッドに寝かされていた。
「俺の家。」
「へ?なんで?」
「提出物が済んだ後、廊下行ったら優奈がいなくて学校中探したらさ、優奈体育館倉庫に倒れてて、とにかく俺の家に運んだんだ。」
横山くんは心配そうな顔で説明した。
私…あのあと倒れちゃってたんだ…。
「そうなんだ…ありがと。」
なんか、体中痛い。
そっか。
私優花たちに殴られたんだ。
思い出しただけで涙が出そうになる。
「そういや優奈、体中傷だらけだけど何があったんだよ?!」
横山くんは私の傷にもう気付いているようだ。
「ちょ…ちょっとね…でも大丈夫だから…。」
本当のことは言わないことにした。