不良BOY



何よ今更。



もう遅い。



「そんなことより掃除して。早く帰りたいの。」



私はまた手を動かし始めた。



「え?許してくれたのか?」


神谷が目を丸くし驚いた。


「んなわけないでしょ。一生許さない。」



「ガーン!!そんなあ…」



神谷はその場にしゃがみ込む。



「もう。いいから早く掃除してよ。」



私が神谷の顔を覗き込むと瞳からうっすらと涙が零れ落ちているのが分かった。



「ちょ…あんたなんで泣いてんのよ…!?」



男子のくせに泣くなんて弱虫な奴。



「だって……春山許しくてくれないから……」



か細い声で彼は言う。



「当たり前でしょ?!てかどうせ嘘泣きなんでしょ?」



「………。」



神谷からの返事はない。



何よ。



これじゃまるで



私が神谷を泣かしたみたいじゃん。



こいつが勝手に泣きだしたんだし私は悪くないもんね!!



この静かな教室は



神谷が鼻をすする音だけであとは何の音もなくなった。



なんか私悪者みたいになってるくない??



神谷は顔を上げない。



ただずっと下を向いている。



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