不良ちっくLover
え…?
触れるだけのキスを私に落とすと、ぼーぜんとその場で固まる私に向かって、
「またな。ユウ」
まるで何もなかったかのような態度でのそっと起きあがると、教室から出て行ってしまった。
私は何が起きたのか理解出来ずに、出て行く彼の背中を見つめる事しか出来なかった。
な、何が起きたの?
5分だろうか、10分だろうか…、そのまま固まっていた私はようやく何が起きたのか分かって来ると、とてつもなく恥ずかしくなった。
リュウ君とキスしちゃった。
リュウ君の声を聞いちゃった。
"ユウ"て呼ばれた?
でも。私の名前は"ユカ"だ。
だけど過去にその名前で私を呼んでいた人が1人いる。
繋がりがあるの?
まさかね。
偶然…?
すでに薄暗くなって来ていた教室で、私はひとり口に手を当てたまま、頭の中はぐちゃぐちゃで何を考えても答えが出せず、ぼーぜんとリュウ君が出て行った方だけを見詰めていた…。