不良ちっくLover
泥棒なキミ
相変わらず、私をじっと見詰めるリュウ君に、いつもは横に視線を外すが、今日は2人しかいない空間で、私はどうしていいのか分からず、思わず俯いてしまった。
どうしよう。
気まずいよ…。
カタ。カタ、カタ…
リュウ君が近付いて来る音がするけど、私は顔を上げられない。
どうしよう。
どうしたらいいの?
「ユウ…」
また呼ばれたその名前に私は思わず顔を上げてしまった。
「…………」
私が座っている机に片手をついて、前かがみで私の顔を覗き込んでいる。
背が高い彼は、それだけで絵になっていて…、
もう目が離せない。
ゆっくり近付いて来る顔にドキドキしながらも、私はそっと目を閉じた。
唇に触れるリュウ君の感触。最初は触れるだけのキスだったけれど、だんだん深くなっていく…。
角度を変えて、離れては触れて、触れては離れる唇。
私の思考もだんだん溶けていき、もう何も考えられない。
夕方の気配を感じながら、私たちはずっとキスをしていた。