不良ちっくLover
キミはキミ
ヒーローのように現れたのは、怒りが顔に滲み出たリュウ君だった。
転がって怯える男たちと、青ざめて立ち尽くす女たちにギロっと睨むと、
「ユウに近付くな。何かしたらオレが許さねぇからな。覚えとけ!!」
凄い低い声で怒鳴りつけた。ビクついてる女たちが目の端に入る。
リュウ君は、息をまだ完全に整えられない私に目を向けると、いきなりすまなそうな顔になって、「ユウ…」一言呟いて私に手を差し出した。
私は一瞬手を握るのを躊躇してしまった。彼は私を助けてくれた。その気持ちは嬉しいし、嘘はないと思う。
でも…。今までの事を考えるとすぐには手を握れなかった。
「ユウ。この間はごめん。すぐに言えなくてごめん。オレは…ユウが好きだよ」
やっと聞けた。
私の目から涙が溢れて来て。やっぱり私はリュウ君が好きだ。大好きだ。
私がその手を取ると、リュウ君は校舎に向かって走り出した。
「どこ…行くの?」
「資料室」
資料室?
普段使わない教室なんで、よく分からないけど、私は素直に着いて行った。