恋涙メモリーズ
「もう泣くなよ、今から写真とるんだから」
「泣くー」
「ふは、目腫れたら可愛くないぞ」
「隼人なんてきらい」
「馬鹿か」
「すき」
「よろしい。あ、またリボンぐちゃぐちゃになっちゃった」
そう言ってまたリボンに手をかける隼人。
「ほら、写真撮り行くぞ」
手を伸ばされて、見上げたら、ほら、と手を捕まれる。
「みんなに自慢してぇし、」
笑ってあたしの手を引っ張る。
どうやら主導権は向こうにあるみたいで、強引に手を引かれるままついていく。
きっと私も、隼人も、近いようで遠くて、ずっと触れることが出来なかったこの手を
ずっとはなしたくないな、なんて思いながら。
恋涙メモリーズ