BABY×DOLL
なんで、あんなに怒るのよ?

…そりゃあね、彼なりに『キス』にこだわりがあったのかもしれないけど。
あんな風に拒否られたら私の立場もないし!

もう…!
あぁ、ムカつく!


──だけど
私はあの瞬間から
彼の唇が忘れられなくなった…







「…号室の沢田さんは夜から熱が出てますから…──…西さん、小西さん!」

「…は、はい!」

「聞いてたの?!メモ取らなくて平気?」

「あ…いえ、すいません!もう一度いいですか?」

かなりボーっとしていたようだ。話しを全然聞いてないのを先輩に見破られ注意された。

「今は仕事中よ。もっと緊張感を持ってね!」

「はい…注意します」

確かにね。ボーっとしていていい仕事じゃないもの。

…しっかりしなきゃ。こんなの初めてだ…

どうしたんだろう。私…頭から正己の事が離れない。
病院で仕事をしている分には、彼の態度はいつもと変わらない。

だけど…あれから一週間、正己からの連絡はないの。

それが余計、気になっていた。

まだ彼は怒ってる…もう関係は終わりなのかもしれない…

──それも仕方ない。


そう考えていた時、少し見慣れた患者が入ってくるのが見えた。
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